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昨日(13日)にwinny裁判の判決が出ました。判決は150万円の罰金刑ということで、比較的軽いものであると思います。被告である金子氏が逮捕されたのが04年5月10日、起訴が同月31日ですから、2年半掛かった裁判です。
この裁判の結果についてCNetでは「Winny裁判、罰金刑は重いか?軽いか?--自己矛盾を抱えた判決」という記事を掲載しています。筆者の佐々木俊尚氏は結果として妥当なものだったと述べています。でも私に言わせればやっぱり不当判決じゃないのかと思ってしまいます。
起訴理由や判決主文を読んでいないので、どこかおかしいところがあるかも知れません。が佐々木氏の文章を読む限り、この裁判の争点は以下の2点になるとのことです。
1)Winnyというソフトそのものが著作権侵害を助長させるものであったのかどうか
2)このソフトを公開した開発者、金子被告の意志の問題(金子被告には明らかに著作権侵害ファイルの蔓延を助長させようとする意志があったかどうか)
1)に関しては裁判所としては「Winnyというソフトそのものが犯罪的であるという検察側の主張は、却下したのである」とありますので、無罪。2)について「ただし、Winnyによって著作権侵害の蔓延を積極的に企図したとまでは、認められない」と記事にはあります。
今回の記事で一番考えなければならないところは、
>>氷室裁判長は、情状酌量の理由として「著作権侵害を目的にしたのではなく、
>>新しいビジネスモデルを生み出すためだった」と述べた。しかし金子被告の
>>意図が著作権侵害ではなかったのだとしたら、その行為がなぜ「著作権侵害の
>>幇助」に問われなければならなかったのか?
>> 意図はしていないが、結果的に侵害に利用されれば、それは「幇助」と
>>なってしまうのか?
>> このあたりの問題は堂々めぐりの迷宮に入ってしまいそうになる気もするが、
>>こうした自己矛盾がひそかに内在しているあたりにも、今回の判決の何とも
>>言えない微妙さが浮き彫りになっているようであり、そしてこの事件の判断の
>>難しさを体現しているようにも思えるのである。
(http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20338740-2,00.htmより引用)
このあたりの話はInternetWatchの記事を参考になるのではないかと思いますが、開発理由を新しいビジネスモデルを生み出すためと認定したのなら、幇助には当たらず、無罪になるのが当然なんじゃないでしょうか?。それを150万円の罰金にしたというのは氏に罪があるということなのですが、どこに罪があるんでしょうか???。
このwinny裁判より前に「1997年4月10日に、大阪府警はモザイクを消すソフトFLMASKの作者がワイセツ図画公然陳列罪にあたる画像を流す手助けをしたということで、幇助犯(刑法62条)として逮捕された」(マルチメディア/インターネット事典より)事件がありました。モザイクを消すとありますが、正確に言うと「可逆性モザイクを掛けるソフト」です。つまり、あるキーワードを設定してモザイクを掛けることができ、そのキーワードを使用することでモザイクを取り去ることができるものです。この事件は作者のページに、当該ソフトでモザイクを入れたわいせつ画像を掲載しているページへのリンクがあったことで、作者も逮捕されたという前代未聞の事件でした。残念ながら、この裁判は被告が地裁判決を受け入れたために、結果的に懲役1年執行猶予3年が確定しました。
この2つの事件を考えるに、道義的には責任があるが、それを罰する適当な法律文がないものを、無理矢理事件にして刑事罰を与えたような気がしてなりません。裁判の争点も、高度かつ複雑になっている今、専門家の知識を活用する場が必要なのではないか、そういう専門家の意見を重視することで、無罪を勝ち取ることができるのではないかと思います。