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規制緩和の裏に

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 18日の早朝、吹田市で起きたスキーバス事故の話。昨日までのニュースではあまり感心がなかったのですが、今日とくダネを見てびっくり。なにかというと、
 1)運転手が21歳、添乗員(運転手の弟)が16歳という若さ
 2)二人とも社長の息子
 3)白馬から大阪まで運転手の交代要員がいなかった
ことです。それでネットで詳しく調べてみると毎日新聞がかなり詳しく事故のことを記事にしていました。
----------- 引用開始 -----------

 ◇背景にはバス業界の競争激化
 今回のバス事故では、1人の運転手が交代なしに夜を徹して500キロ以上を走った疑いが強い。背景には、バス業界の競争激化に伴う運転手の劣悪な労働環境が浮かんでくる。規制緩和の流れで00年に道路運送法が改正され、観光バス事業が免許制から許可制に変わり、新規事業者が相次いだ。事故を起こした「あずみ野観光バス」も00年7月に設立された新規参入組で、家族経営に近かった。
 事業者増による競争激化でバス会社が低運賃を受け入れ、そのしわ寄せで運転手が過重労働を強いられるケースも増加。同省は昨年6月、ツアーバス運行の適正化に向け、長時間労働の禁止や最高速度の順守などを徹底する通達を出した。
 ところが、小池勇輝運転手は長野県小谷村を出発し500キロ以上の道のりを7時間余りで走り、事故に遭った。事故がなければ、昼間ホテルで仮眠後、その日の夜に大阪から長野に折り返し、2晩連続で運転する計画だった。そのうえ、運行台数に比べ運転手は不足していた。
 同社専務は、大阪府警交通捜査課などの事情聴取に対し、「(小池運転手は)ここ数日は忙しかった。長野―大阪間を往復していた」と話しているという。
 一方、同社の下総建司社長は、18日夜、報道陣に対し、運転手の交代について「4台運行していたが、乗務員を回して、交代はしていた」としながらも、運転手が足りていなかったことについては認めた。
----------- 引用終了 -----------
 確かに道路運送法には
(一般貸切旅客自動車運送事業の運賃及び料金)
第九条の二  一般貸切旅客自動車運送事業を経営する者(以下「一般貸切旅客自動車運送事業者」という。)は、旅客の運賃及び料金を定め、あらかじめ、国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
とあります。路線バスのほうは
(一般旅客自動車運送事業の許可)
第四条  一般旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
とあります。この「許可を受ける」のと「届け出る」のは大きな違いです。

 国による許可申請という参入障壁をなくすあるいは低くすることは競争の公平化という点では重要なことですし、どんどんやって欲しいと思うところです。しかしながら、そのことにより、過当競争 -> 値下げ合戦 -> 安全の低下となっては意味がないですね。今回の事故はもろにこの図式が当てはまっているのではないかと思います。

 今回事故を起こした「あずみ野観光バス」はインディビジョンという転職求人サイトに求人情報を出しており、そこには従業員数5名とあります。家族経営に毛が生えたくらいの規模で、小規模企業の分類に入ります。このような状況で運転手の交代要員を確保するというのは非常に厳しいものがあります。
 そういうことも考えると、事業によっては参入できる「下限」というものも考慮する必要があるのかも知れません。特にバスやタクシーなど直接的に人の安全に関係する業務は、万が一事故が起こった時にきちんと責任が取れる体制が整っていないと大変です。
 今回の事故で亡くなったのは添乗員である16歳。運転手の弟で社長の息子でもあるようです。これが乗客にまで死亡者が出たとしたら・・・。保険で賄える部分があるとはいえ、下手をすれば損害賠償で倒産する可能性も否定できません。

 なんか良い方法がないですかねぇ・・・。

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2007年02月20日 11:41に投稿されたエントリーのページです。

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