先月だったか、痛いニュースに漫画家の島本和彦氏の発言が取り上げられていた(漫画家の島本和彦さん「YouTubeでエヴァを見たつもりになるな。日本はアニメや漫画を見る作法がなっていない」)のですが、今日ITMediaを眺めていたら、その元記事を発見しました。
それが『作り手を“やる気”にさせる著作権とは――島本和彦氏など語る』というもの。痛いニュースを読んだときには「ふ~~ん」と流していたのですが、結構重要なことが書いてあります。
著作権法というのは一体誰のためにあるものなのか?。第一義的には著作者にあるんだろうと。その次には利用者が来ると思います。つまり著作者の権利を十分守りながら、利用者は有効活用しなさいよというのが著作権法の理念ではないかなと思います。
記事の中で大学の先生が言っていることは非常にわかりやすいですね。法政大学准教授の白田秀彰氏は
著作権法は19世紀に、印刷物を想定してできた法律。その意図は、著作物の自由な利用を一定程度制限することで、著作者に経済的な利益をもたらし、著作へのインセンティブを高めてより豊かな創造につなげよう――というものだ。だが、著作物が多様化し、ネットによって流通コストが劇的に下がった今、利用制限による不自由さが際立ってきた。
著作権保護期間延長問題や、無許諾複製物のダウンロード違法化問題など著作権法にまつわる問題がクローズアップされる中、いわゆる「権利者側」と、一般ユーザーが対立するケースも増えている。この対立は「旧来の流通システムと、インターネットという安価な流通システムの戦い」(白田さん)であり、汗をかいて創造しているクリエイターは蚊帳の外だ。 「著作権法にはクリエイターを守る規定がほとんどない。それに手を付けずに権利を主張するのは、旧来のメディア企業が利益を守ろうとイチャモンをつけているようにしか見えない」 |
「今の著作権法は、自分は何もクリエイトせずに流通を支配しているだけの人に巨額のお金が渡る。その代表が放送局。クリエイターがちゃんとお金をもらえる仕組みを作るべき」 |
両市が言っていることは十分理解できます。ではどのような仕組みがいいんだろうかというと、この記事で出てくることはどうもしっくりきません。『現実に即して仕組みを変えるべき』というのは間違いない。でもそこからの具体論に入るとなんだかよくわからない話になってしまいますね。
アメリカのやり方が一番なんて全然思わないのですが、「フェアユース」という考え方というのは重要なんじゃないでしょうか。wikiで「フェアユース」を調べてみると『著作権者に無断で著作物を利用していても、その利用がフェアユースに該当するものであれば、その利用行為は著作権の侵害を構成しない』とあります。
フェアユースですべて解決するものではありませんし、たくさん訴訟されていることも事実です。でも最低限の守るべきラインをこの考え方で規定することは、かなり意味があるんじゃないかと思います。今日本で検索サービスを行おうとすると著作権法に引っ掛かるのですが、フェアユースをきちんと著作権法に入れることで引っ掛からなくなりますから。
でも一番ガンなのが中村伊知哉・慶応大学大学院教授が言われている
著作権法に関する議論ではさまざまなアイデアが出てくるが、それが実際に法律になるまでは、審議会の答申を得て関係省庁を説得して自民・民主党のOKをもらって省庁を説得して――と、超えなくてはならないステップが10ステップぐらいある。いったいどうすれば実現できるのか |
一番のガンが政治というのは、日本の政治を象徴していますね。