日経ビジネスオンラインに、遙洋子女史のコラムがある。それが『遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」』。正直なところ、私は彼女の言動があまり好きではない・・・というか嫌いである。とはいえ、今回のコラム『どうすれば売り上げが上がるのか』、流通業の知識があれば当たり前の話なので「そりゃそうだ」と感じました。
でも、なにか釈然としない。当たり前のことを自分のコラムに恥ずかしげもなく書いているというところもあるのですが、このコメントやトラックバックを読んで「話を矮小化」しているために、釈然としないんだと思い当たりました。
確かに顧客満足を与えることで、顧客はその店、営業担当にくっつき離れることはない。でもそれは比較的高額品や希少品での話じゃないでしょうか。このコラムで出てくる保険や高額衣料というのは、頻繁に購入するものではありません。車なんかもそうですね。そういうものを買うときに、次もうちの店で買ってもらうために努力するのはある意味当たり前。
では身の回り品や日常品を販売するときにもそういうことができるのか。ある程度の努力は可能ですし、そういう対応をしなくてはいけません。でもトータルコストを考えると、高額商品と同じ対応を取ることは難しいというか不可能です。ハンバーガーショップを考えて見て下さい。高額品と同じレベルのサービスを従業員が提供しますか?。そんなことをやってたら、対応された顧客は満足するかも知れませんが、後ろに並んでいるお客は不満を持ってしまいます。だからということでもないでしょうが、ファーストフード店ではマニュアルを作成し、最低限のサービスを提供するだけにするわけです。
コラムにあるように、余りにもマニュアル中心になりすぎて応用が利かないアルバイトが増えているのも確かな話です。てんぷらうどんを食べたくて、「てんぷらうどん」と言っても「そばですか、うどんですか」と注文を確認されたらいやになってしまいます。どこかで読んだのですが、アメリカのマクドナルド(日本ではない)ではマニュアル通りに働く従業員しか雇わないとか。それで人件費を抑えるんだそうです。だんだん日本もそうなってきているのかも知れません。
日本の場合、相手の気持ちを察するということを知らない間に身につけていることは、いままでは当たり前だったと思います。そうすることで、相手から感謝の気持ちを伝えられて自分も嬉しく思う。また感謝した人が立場が変わったときに同じように相手に接しようと思う。こういう前循環が企業の売上・利益アップにつながります。でもこういうことを無償でさせることはだんだん難しくなってきたのではないかと思います。よく出来る人には待遇を良くし、あまり出来ない人と差をつける。これが従業員満足につながり、ひいては顧客満足の向上になるのではないでしょうか。
待遇があまりよくないのに顧客満足向上を掲げてもなかなか難しい。相互に影響し合っているわけですからね。まずは待遇に少しずつ差をつけることから始めてみませんか?。まずは上司の評価で構いません。それによって顧客がどう反応するかを掴み、それを待遇に反映する。そうすることで従業員満足と顧客満足が向上し合うのではないかと。
ここで述べている「従業員満足」は従業員全体ということではない・・・ということはわかるかと思います。もう少し書くと結果平等ではなくて、機会平等にする。従業員に「これこれこういう評価をしますよ」と言うことで、従業員全体にチャンスを与える。それについては平等なんです。でも努力の結果は全員同じになるはずはなく、バラバラになります。だから結果平等ではない。それをきちんと理解していないと話が通じないですね。
まあ、学校教育でそういうことを教えていないから、変な平等教育をしているから、勘違いする人間が大勢いる・・・とまで書くと長くなってしまうので、その話はまたの機会にということで。