昨今の情報システムのトラブル
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日経ビジネスオンラインで『「情報システム事故」、技術者だけでは防げない』という記事を見つけました。最近そういうトラブルが多いですよね。ANAやNTT、昨日は社会保険庁のオンラインシステムもトラブってました。こういうニュースを読んだり聞いたりすると、「システムやさんは大変だなぁ」と同時に「きちんとテストしとるんかい!?」とも思ってました。
で、この記事にはこのような事故が発生する原因を追及しているのですが、日経各紙などから引用してます。ここでもそれを上げてみますね。
1)原因を知り、同じミスを繰り返さないことが必要(日経コンピュータ)
2)システム障害防止へIT人材の育成を(日経新聞6/2)
3)企業経営者の意識の問題に行き着く(日経新聞6/6)
これらの指摘は間違ってはいませんし、確かにそうなんです。がこの記事では、それらに加えて「情報システムの問題は全員の問題」と提起しています。
情報システムでトラブルが発生したときに、「あれはシステムの問題であって、端末の前で客の応対をしている私は関係ない」とか、「本当に、なんで私(たち)がマスコミの前で頭を下げなくちゃいけないんだ」と思っている人がいてはダメだということですね。
記事には
情報システムの事故を招く背景には、今日の情報システムが高度かつ複雑に成り過ぎていることがある。現場部門の要請をすべて鵜呑みにしてシステムを開発し続けると、こういう結果に陥る。複数の現場部門から上がってくる要請を整理し、優先順位を付け、本当に必要な機能だけを開発できれば、情報システムを今よりは簡素な形で維持でき、事故が起きる可能性を引き下げられる。ビジネス案件の整理や優先順位付けは、IT技術者の仕事ではなく、経営の仕事である。経営者や現場部門の責任者は、ITそのものの細かい点を理解する必要はないが、ITを利用する目的を明確にし、仕事の優先順位を付けなければならない。 ITは金がかかるし、万能ではない。場合によっては、IT以外の方法を選ぶべきであるし、事故が起きた時に、ITを使わず仕事を続行できるように準備しておく必要もある。「その業務の作業量はそれほどではないから、コンピューターを使うまでもない。手作業に戻してしまおう」という経営判断があって差し支えないし、そうしなければ複雑かつ高度な現行システムは、さらに肥大化し、事故を誘発する。 |
とあります。システムが複雑になりすぎていることについては、もう言うまでもないことですね。ましてや、そこにTCP/IPなどという(専用線と比較して)信頼性が低いプロトコルが入ってくれば、技術者が「なんで???」と頭を抱えることも理解できます。
そこで、記事ではCIOとかITコーディネータ役が入って、システム化要求の優先順位をつける必要があると言っているわけです。まさに正論だと思います。これはシステム化だけの話ではないと思います。企業における全ての業務において、優先順位をつけてその順番の基に業務を遂行していく。言われてみれば当たり前の話です。
それともう一つ注目したいのは「消費者(顧客)も関係者」という考え方。確かにそうなんですけどね、あまりにもこれを強調しすぎると、顧客離れを招くような気もします。多分、顧客満足を重視しすぎることへの警鐘だと理解すべきなんでしょう。
情報システム構築における経営者の仕事にも言及しています。記事では「経営者の仕事は、現場が仕事を改革していく社風や環境をつくり出すことである」とあります。これも情報システム構築に限った話ではありません。
今回の記事は、非常にきれいにまとまっていて、わかりやすかったです。こういう話をする機会は・・・あるといいなぁと思いつつ。